伝統的な技術と文学的なエッセンスが交差する春のコート

昨年末に劇的な出合いをしたrihei 2016SS collection。言葉で表現する仕事をしていながら、本当に良いものに出合ったとき、私は言葉を失ってしまうという…困った傾向にある。riheiのコレクションを見た時も全くその状態で、とにかくただざわざわと心が騒ぎ、静かに鳥肌が立つような…そんな感覚に陥ってしまった。そしてデザイナーの繊細な感性が詰まったコートをオーダーし、まだかまだかと待つこと3ヶ月。先日ようやく私の手元に届いたそれは、やっぱり間違いなく素晴らしいものだった。

兵庫県西脇市を中心に栄えた伝統技術・播州織。その歴史を遡ればおよそ300年以上。播州地方では綿花の栽培から衣料・織物の製造まで自給自足で 手がけていたと言う。その播州織でオリジナルのパターンを表現したriheiコートは、ふっくらと何とも言えない風合いを持ち、そっと包み込むようなやさしさを携えている。そして何より私の心を捉えたのは、やっぱりこの独創的なパターン!ドイツの児童文学「Momo」をテーマに、その絵本に登場するカシオペア(亀)をモチーフにしているのだとか。

伝統的な技術と、文学的なエッセンスと。心地よく交差したriheiの世界観にすっかりやられてしまった春の始まり。

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